香港ポストコラム 『香港における合併 (Amalgamation)』
- 2015年10月16日
- カテゴリ:コラム
香港における合併 (Amalgamation)
合併(Amalgamation)とは、2社あるいは、2社以上の会社の事業、資産、責任、債務などを結合させ、元の会社あるいは、新しく設立された会社に統合する法的手続きのことです。2014年3月3日に施行された香港の新会社条例(622章)(The New Companies Ordinance Cap 622 以下「新条例」という。)により、100パーセントのグループ内の合併の場合は、裁判所の承認なく行えるようになりました。
合併は、MergerあるいはAmalgamationと訳されます。両方ともほぼ同じ意味で使用され、大きな違いはありません。新条例では、Amalgamationの表現が使われていますので、合併(Amalgamation)の方を使用したいと思います。
旧会社条例
旧会社条例(第32章)では、合併という文言こそ含まれていたものの、合併制度の具体的な法規がなく、裁判所の認可の下、存続会社への資産・負債および資本などすべて事業譲渡を行い、その一方、消滅会社への解散・清算あるいは、登記抹消を別々に進めることで、吸収合併に近い効果を得ていました。また、必ず裁判所の認可を得る(旧会社条例166および167条)必要があったため、費用がかかりすぎるため相当大きなケースを除き、実務上あまり利用されてきませんでした。
合併の法的条件
新条例により、裁判所の認可なしの合併手続きが認められるようになりましたが、その条件は以下の通りです。
—合併する法人は必ず香港設立会社であること。
—新条例により設立された会社、あるいは旧条例時代に設立された会社を問わず香港会社は必ず有限会社であること(company limited by shares)。
—合併会社同士は必ず100%保有のグループ会社間であること。
—すべての合併会社は必ず支払い能力がある必要がある。被合併会社の直近12カ月以内に決済期限がくるすべての負債を支払うことができる。
合併方法
垂直合併の場合は、子会社の株はすべて支払なしにキャンセルされ、親会社が残り、法人名も親会社のまま使用する。親会社の定款が合併会社の定款となる。(図A)
水平合併の場合は、子会社間で合併され1社の子会社のみを残し、他のすべての子会社の株式は、支払いなくキャンセルされる。合併会社は、残された子会社の社名および定款を使用する。(図B)
(このシリーズは月1回掲載します)
ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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