コラム:中小企業のための法務講座『顧問弁護士』

中小企業のための法務講座『顧問弁護士』

中小企業のための法務講座『顧問弁護士』

中小企業のための法務講座
顧問弁護士

新年明けましておめでとうございます。本年も引き続きどうぞよろしくお願い致します。

最近、親会社からの要請により香港の取締役や駐在員の方から立て続けに顧問のご相談を頂きましたので、1度、顧問弁護士について執筆してみたいと思います。

顧問弁護士のメリット

① 気軽にすぐに相談出来る
 日系企業は、トラブルが発生してから慌てて弁護士を探し出すケースが多いようです。ようやく良いと思われる弁護士を見つけたとしても、その弁護士が、御社の案件を受けてくれるのか。更には、日程調整、費用の確認、利害相反チェックなどの後、初回の場合は、香港弁護士協会の規定により、KYC(顧客を知る)のために様々な書類をご準備頂く必要があります。そうした手続きの後に、ようやく弁護士と相談が可能ですが、それでは間に合わなくなってしまうこともあるかもしれません。顧問弁護士の場合は、トラブルになりそうな気配を察知した時点で、すぐに、メール、電話はもちろん面談でご相談が可能です。
 また、通常の法律相談であれば、大抵、顧問料の枠内で収まりますので、タイムチャージを気にしないで気軽にご相談が可能です。

② 会社の状況を理解しているため、より早く適切なアドバイスが可能である。
 弁護士と顧問会社は、日頃の相談を通じ会社の事情を理解しているため、最初から会社の説明をすることなく、理解してもらえ、顧問先を優先させるため素早い対応が期待できます。 ある会社は香港法人設立時から雇用ビザ、金融ライセンス取得、更新管理からその後の日常業務やトラブルまで、当事務所の開業の頃から継続して長期的に顧問弁護士としてお付き合いさせて頂いております。

③ コストパフォーマンスに優れている
 法務部としてスタッフを雇うよりもコストを抑え 、優秀な専門家が使えます。 日系企業の場合は、日本では大手企業であったとしても、香港現法は小規模な企業が多いため、法務を外部の弁護士に委托するのは、非常に合理的な選択だと思います。 
 香港に駐在員として派遣されて香港のマネージメントを任されている方は、 マネージメントや営業畑の方が多く、契約書(まして英語や中国語で書かれている)を取り扱うのに苦慮されているようです。日本の親会社や日本の顧問弁護士に相談しても、日本での事は、一般的な事は分かっても、香港の事は分からないのでお困りの方が多いようです。日本と香港は法律が異なります。餅は餅屋。香港の弁護士であるプロにお任せ頂くのが費用対効果も高いと考えられます。
④ 本来の業務に専念することができる
 日系企業の場合は、本社への報告も重油な業務だと思いますが 、弁護士として、日本の法務部へ日本語で直接アドバイスをすることができ、本来の業務に専念することが可能です。

⑤ 社会的信用の向上
 顧問弁護士を置いている会社は、コンプライアンスが充実していると認識され、対外的な信用向上が期待できます。

顧問弁護士のデメリット
 費用がかかること以外には、デメリットはないでしょう。逆に、顧問契約がない場合、弁護士に相談すべき問題を相談しないで済ませてしまうリスクが生じます。

顧問弁護士の活用例

① 日常的な契約書の作成・レビュー
 香港では日本以上に契約書が非常に重要となります。後々、会社にとって不利な条項があり、大きなトラブルに発展することを度々見聞きします。新規取引先とのビジネス開始に当たり、顧問弁護士に契約書を作成・レビューをしてもらえます。

② 労務相談にももちろん対応可能
 香港では、労務関係を専門にされていらっしゃるコンサルタント会社も有るようですが、そうした会社で対応できなくなった案件が弁護士に回ってきたりします。香港法の弁護士であれば、香港会社法、コーポレートファイナンス,訴訟だけではなく、労務までも総合的に対応可能です。

③ 全ての法務を任せる
 法務部を外注しているような形です。ビザ、労務、契約書作成やレビューなど香港法人で発生する法律関連の業務を全て任せて頂いている顧問先様もあります。

顧問弁護士との契約をご検討中の経営者や富裕層の方は、お気軽にご相談ください。

アンディチェン

ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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