商品説明(不良営商手法)条例
- 2014年02月24日
- カテゴリ:コラム
2013年7月19日から「商品説明(不良営商手法)条例」が施行され、メディアでもかなり取り上げられており、それらの報道を目にしている方もいるかもしれない。8月末までにすでに400件の苦情と2000件の問い合わせが税関に寄せられ、多くは、飲食、電気、乾燥海鮮物および美容サービス関連である。
税関は、140人の経験豊富な人材でチームをつくり、「誤解を招く遺漏の罪」で、先月初めて起訴されたケースがあり、注意が必要である。
改正された「商品説明条例」の大きな特徴は下記の通りである。
①対応範囲を「商品」から「サービス」にまで拡大
②頻度の高い悪徳商法の5つに、刑事責任が問われる
③条例違反に対する罰則として刑事罰以外に行政指導を導入
⑴新13E条:誤解を招く遺漏・言い落とし(misleading omission)
誤解を招く遺漏は、商品やサービスに対する
①重要な情報を控えること
②重要な情報を隠すこと
③重要な情報を教えたけれども、それは曖昧ではっきりしない、理解できない、読めない、聞き取れない、タイムリーではない
④商売という 趣旨をはっきりさせないことにより、一般の消費者がきちんと判断したらしないことをしてしまった。
重要な情報とされるのは何か。
①商品に関する重要な特徴
②商売人の身分(identity)、商品名(trade name)
③商売人の住所
④値段、あるいは商品の特徴により、事前に値段決めるのは難しい場合、その値段を決める方法
⑤商品に代わる郵送費、あるいはその計算の方法
⑥業界の「誠実な標準」と乖離した場合の支払いの方法、商品のデリバリーサービスのアレンジ
⑦商品注文のキャンセルの権利
⑵新13F条:脅かし/脅迫による商売行為(aggressive commercial practices)
ある営業行為の状況が、
①脅迫、ハラスメント、不正影響で一般的な消費者としての選択や行動に大きく影響している。
②普通ではしない判断をしてしまった、という状況である。
脅迫、ハラスメント、不正影響の成立要件
①その時間、場所、性質、連続性。
②脅迫、乱暴な言葉、行為があるかどうか。
③消費者自分自身の不幸(例えば傷害、知的障害、目が見えない)を利用して彼らの判断に影響させた。
④消費者が契約書の正当な権利を主張したい時に、商売側が契約上と直接関係ない面倒な行為を教示したり、常識から外れた障害を置き、消費者が契約権利を行使できない状況。
⑤法律に認められない行動をとると脅迫する。
⑶新13G条:おとり(釣り)広告(bait advertising)
①ある商品やサービスを、ある値段で提供するという宣伝で、合理的な根拠から見ると販売側がその値段で提供できることは信じがたい。
②販売側が該当商品を宣伝された値段で合理的な量と合理的な時間帯で提供できなかった。合理的とは、該当商品のマーケットの性質と該当宣伝の性質による。
⑷新13H条:最初は釣り広告でお客を誘い、後で別の商品やサービスに転換する行為(bait and switch)
①もともとの商品(釣り)を消費者に見せない・開示しない。
②消費者が注文したものの、受注を受けない。あるいは、合理的な納期でお客さんに釣り商品を送らない。
③開示した釣り商品が不良品である。
⑸新13I条:不正な支払い(前払い)を引き受ける(wrongfully accepting payment)
支払い(特に、前払いが多い)を引き受けた時に、販売側が
①該当商品やサービスを提供するつもりがなかった。
②元の商品/サービスに対して、根本的に違う商品やサービスを提供した。
③客観的にみて、販売側が該当商品を指定した期間あるいは、期間をしていなかった場合、合理的な期間以内に、提供することができない。
(このシリーズは月1回掲載します)
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筆者紹介
ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めている。日本語堪能
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