コラム:香港における中国公証・国際公証(Notary Public)・認証(Certified True Copy)および翻訳証明(Certified Translation)①

香港における中国公証・国際公証(Notary Public)・認証(Certified True Copy)および翻訳証明(Certified Translation)①

香港における中国公証・国際公証(Notary Public)・認証(Certified True Copy)および翻訳証明(Certified Translation)①

中小企業のための法務講座

香港における中国公証・国際公証(Notary Public)・認証(Certified True Copy)および翻訳証明(Certified Translation)

新年のためか公証の問い合わせが多いため、今回は、公証書類について解説したいと思います。海外とビジネスをしていると様々な法的証明書類を要求されることが多々あると思われます。例えば、
―香港法人の子会社を中国で設立
―親会社である香港法人の情報が変更された時
―香港で働かれていた日本人が中国のビザを取得される時
―海外で香港在住者が不動産売買をする時
―宣誓(Declarations)
―委任状(Power of Attorney)
―契約書
―個人情報((移民・結婚、留学、仕事などのため)
―会社情報
などです。

全ての書類の前提として、提出先で何を求められているかの確認が非常に重要です。どこへ提出で何のために必要なのか。何の書類を何部、どういう形で綴るか。アポスティーユ(Apostille)まで必要か。領事館認証(Legalisation)まで必要か。について提出先の政府機関や金融機関の確認が必要となります。香港と関連がある(例えば、香港法人や香港IDがある。)場合のみ、香港の公証人が書類を公証することが出来ます。

中国委託公証(China-Appointed Attestation)

中国委託公証人と言われてもほとんどの方は何の事がご存じないと思われますが、中国大陸で使用するために、香港に関連する行為、事実、書類の真実性、合法性や法律意見を提供する業務を中国司法部から委任されているのが中国委托公証人です。
中国委托公証人の背景
返還前は植民地であった香港は、中国国内とは法制度が根本的に異なるために、中国国内では香港関係の証明には、国際公証のような制度が必要と考えられていました。しかしながら、政治や民族の感情面から見ると香港は中国にとって同じ民族であるために国際公証の形(国対国)のような証明制度は違和感があったために、国際公証よりも区域内の証明制度が可能かどうかの検討を行い、1981年中国委託公証人制度はこの背景の元に作られました。中国委託公証人とは 香港で発生した行為、事実証明、法律、書類の合法性について中国内で使用できるための証明制度です。1981年初めての8人の香港で尊敬される弁護士が中国司法省に選ばれこの制度は始まりました。画期的な制度と言える。徐々に制度の改善と完備が進み、2019年現在、年間10万件以上の中国公証案件があります。
中国委託公証人(China-Appointed Attesting Officer)

 中国委托公証人とは、公証人中國委托公証人(香港)管理辦法により10年以上の経験がある香港法弁護士が、中国の関連する法律や法規を習得し、中国語で業務を遂行し、公証書類を中国語で作成出来る弁護士が受験資格を得られます。試験と面接により合格すると中国委託公証人となれます。現在、香港弁護士の中で568人が中国委託公証人となっており、つまり香港の弁護士の中でも4−5%しかこの資格を保有しておりません。

中国委托公証人の業務
中国大陸と香港の法制度は異なるために、香港政府が出す各種公的書類と中国大陸の書類は異なります。 中国大陸で香港の書類が必要な場合は、 中国司法部委托の中国公証人が公証書類を作成し、偽造を防ぐために、更に、中國法律服務(香港)有限公司へ持参し、登記、査定、押印されると中華人民共和国の法律で有効な書類となります。公証は、必ず中国委托公証人の捺印が必要となります。

アンディチェン

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