香港ポストコラム『ビザの面で法人が気を付けるべき点』
- 2013年03月29日
- カテゴリ:コラム
ビザの面で法人が気を付けるべき点
規則として、香港居住権あるいは香港入境権を持たない者が留学、就労、トレーレング、ビジネスの立ち上げや加入を香港で行うことは禁止されています。
⑴旅行者にビジネス活動が許されるか?
訪問ビザしか持たない方は就労(有償であれ、無償であれ)、ビジネスの立ち上げや加入で香港に滞在することはできません。
特に訪問ビザしか持たずに香港で「就労」と見なされる行為をしないように気をつけなければなりません。例えばある人は、香港にいる恋人に会いによく香港を訪れていました。個人的な趣味のつもりでグラフィックデザインをし、ただで絵を書いて人にあげるなどしていたところイミグレから就労と判断され香港から出なければならなくなりました。その後、香港に来るたびに入境でひっかかることになりました。パスポートが香港の入境スタンプだらけなことも関係しているかもしれません。この人は無償であったことから仕事をしている自覚はありませんでしたが、イミグレにどう判断されるかが重要になります。
香港に来る人のなかにはビジネス関係で来る人もいます。誤解されている方も多数いらっしゃいますが、就労ビザを持っていなくても 契約書へのサイン、プロジェクトの入札申し出、 品物または設備の取り付けの監督、展覧会、展示会への参加(ただし一般市民を相手とした商品の販売やサービスの提供は除く)、裁判または和解、賠償への解決、ビジネス交流、技術の観察、短期セミナー、ビジネス会議への出席などについては許されています。
⑵香港で働くには
香港で就労するには、①香港の永住権②香港滞在条件として期間の制限ない香港への入境権③投資移民/優秀人材移民のビザ④就労ビザ(注1)⑤投資ビザ、⑥①~⑤の扶養人(注2)——のいずれかが必要です。
⑶雇用ビザを持つ方の落とし穴
雇用ビザは、スポンサー(被雇用者の雇用の責任を取り、保証する役割)会社のためにしか働けません。そのため被雇用者が香港で他のアルバイトやビジネスを勝手に行ってはいけません。就業規則違反、イミグレからのビザのキャンセルや起訴、強制送還などを引き起こす可能性があります。
香港入境条例第41条により、「所得の有無に係わらず、入境事務所の許可を得ずして就業してはならない」という規定があります。香港入境条例第17I条により、不法就労者は、 最高罰金5万香港ドルおよび2年の禁固が課せられ、不法就労をさせた雇用主には、 最高罰金35万香港ドルおよび3年の禁固が科せられます。
雇用主も人材を雇う際は、香港IDを必ずチェックし 、合法的に働ける人材であるかどうかを確認する必要があります。もし永久居民のIDがない人の場合、法律により求職者の有効なパスポートを確認することが要求されています。
実際に数年してから、不法就労が見つかったケースもあり、慌てて弁護士に相談に来られる方もいらっしゃいます。雇用ビザの審査には4週間かかります。不法就労にならないように、早め早めの準備を心掛けましょう。弊所も各種ビザ手続きを代行しております。
注1…ここでいう就労ビザとは一般就業政策(General Employment Policy—GEP) における専門人材(プロフェッショナル )就労ビザをさし、投資ビザとは、香港法人の株主として、事業を行う場合取得します。中国本土優秀人材や家政婦(いわゆるアマさん)、 海外労働者の就労ビザについては通常日本の方にはあまり関係がないためここでは省略します。
注2…④就労ビザおよび⑤投資ビザの配偶者は、もし滞在条件の中で就労が制限されていた場合、働くまえにイミグレの許可が必要です。
(このシリーズは月1回掲載します)
筆者紹介
ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めている。日本語堪能
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