香港ポストコラム『続 マネーロンダリング』
- 2016年01月25日
- カテゴリ:コラム
続・マネーロンダリング
逮捕の流れ
通常逮捕されてしまった場合、警察官に連行されて警察署へ行くことになります。日本人の場合、警察の方で通訳が用意されています。通訳も在籍の上、「調書」という書類が作成され、通訳も含めて署名することとなります。この調書は、裁判時には非常に重要な証拠書類の1つになり、法廷で述べたこととこの調書の内容が異なる。或いは、矛盾があった場合、その供述の信頼性が落ちることは言うまでもありません。初めて逮捕されてしまった人の中には、「自分はこれからどんな目に遭い、どのくらい留置場に入れられてしまうのか?」といった不安と孤立無援の拘束状態の中、警察から広東語での厳しい取調べを受けて、やってもいない冤罪を認めてしまうケースも少なくありません。
前回述べた通り警察は無防備な時間帯に逮捕しますので、弁護士に連絡がつかなかったり、恥ずかしくて家族や同僚に連絡できないのが現状です。駐在員の方の場合、仕事に影響が出ることを恐れ会社には秘密になさりたい方が多いと思います。また連絡があったとしても、ご家族も海外で突然警察から連絡が来たら驚き、どのような対応を取ったらよいか分からない方が多いかと思います。
弁護士であれば、一般の方と異なり、制限なく速やかに逮捕された方と面会することができます。実際に警察署から取り調べの最中に連絡を頂き駆けつけることも多いのですが、「弁護士が来る前と来た後では警察の態度は全く違う」と憔悴しきった様子で述べられる方がほとんどです。
凶悪な事件(殺人など)ではなく、証人を脅したり逃亡したりする恐れがないときには、弁護士(ソリシター)の保釈要求により容疑者は保釈を許されます。保釈金の金額や保釈の条件は容疑者によって異なります。また保釈中であっても、容疑によっては、海外へ渡航も認められることもあります。保釈の間に警察は引き続き調査を行い、証拠の量と質により、検察が起訴するかどうか決定します。もし検察が起訴する決定をした場合、その後、裁判となります。罪を認めるかによりその後の行動が異なります。通常、ソリシターが探すバリスターと共に、裁判のための対策を考えることになります。
拘置所の面会や差し入れ情報https://www.csd.gov.hk/english/socialvisit/ins_vis_guide.html
指定品目メーカー以外の差し入れは禁止されています。事前にチェックが必要です。https://www.csd.gov.hk/english/socialvisit/socialvisit_articles/ins_vis_guide_handin_articles.html
(このシリーズは月1回掲載します)
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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