香港会社の閉鎖、清算に関して
- 2022年06月20日
- カテゴリ:コラム
香港会社の閉鎖、清算に関して
登記抹消(De-Registration)
登記末梢とは、香港会社の登記を抹消する手続きである。清算と比較し、手続きが用意であり費用が抑えられるため、以下の条件全てに当てはまる場合には登記抹消がお勧めである。
・全ての株主からの合意
・税金含め全ての負債がない
・1度も事業活動を行ったことがないか、事業停止から3ヶ月以上経過していること
・裁判がない
・香港で不動産を保有していない
ただし、会社登記抹消完了後も引続浮き取締役および株主の責務は存続する。登記抹消手続き後、20年以内に不服の申立があった場合は、登記が回復されることがあり、会社登記が復活し、債務を履行させられる可能性がある。
登記抹消時に会社が資産を保有している場合は、香港政府の所有となる。登記抹消手続きが終了してから、法人口座にお金が残っていたケースを見聞きするが、その場合は、再度登記抹消手続きを取り消す裁判を起こす必要があるため事前の注意が必要である。
香港会社清算
会社の清算とは、会社が行っている業務を全て中止し、法人の全資産を債権者や株主へと分配し、清算完了後には会社の法人格を消滅させる手続きである。
会社清算の理由
会社清算の主な理由は以下の通りである。
- 会社の負債
- 業績の悪化
- 中国の工場の移転により親会社である香港法人の役割消滅
- 会社の事業譲渡により法人が不必要となった
- 株主・取締役間の争い
- トラブルにより会社がコントロールできなくなった
- 設立時に設定していた期限が来た
- リタイヤ
会社清算に関連する主要な法律
会社清算は、下記の二つの法律に管理される。
—(*) 会社(清算と雑項)条例(香港法律第32章)Companies (Winding Up and Miscellaneous Provisions) Ordinance (Chapter 32 of the Laws of Hong Kong)
(以下、会社(清算と雑項)条例という)
会社(清算と雑項)条例の前身は旧会社条例であった。2013年に香港法律第622章からなる新しい会社条例の実施により、旧会社条例の清算の部分は残され、今の会社(清算と雑項)条例に変名された。
―(**)破産条例(香港法律第6章)
Bankruptcy Ordinance (Chapter 6 of the Laws of Hong Kong) (以下、破産条例という)
破産条例とは、個人破産向けの法律であるが、会社(清算と雑項)条例の中で度々照会されており、例えば、破産条例の中の『個人破産を避けることー所謂不正優先処置に関する制限』はそのまま法人にも適応されている。
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
www.andysolicitor.com
info@andysolicitor.com