香港の民事訴訟 ④
起訴状の発行 民事訴訟手続規則により、裁判を開始する様式は4つある。 ① 召喚状 (Writ of Summons) この様式は事実関係と法律の争いがあるときに使用する。 ② 手続開始申立書 (Originating Summons) この様式は法律の争いがあるときのみに使用する。 ③ 動議 (motion) 特別な申請である上訴、司法審査のときに使用する。 ④ 嘆願書 (petition) 離婚、清算、個人破産など法律で規定された争いのときに使用する。 民事訴訟では、召喚状で起訴することが圧倒的に多く、その理由は民間人の争いは殆ど事実関係の係争であるからだろう。例えば、契約違反の争いで、いつ、何処、何、誰、損害額などは殆ど事実関係の範囲であり、民事訴訟手続規則により、間違った様式で始まった裁判の有効性は認められるが、恐らく裁判所に様式変更を命じられる。この時、担当弁護士が恥をかくだけではなく、関連する費用も自己負担を命じられる可能性が高い。 起訴状の送達 民事訴訟手続は、召喚状の提出およびこれを被告に送達することにより開始する。送達方法や有効性については詳細な規則が設けられており、このステップは極めて重要で […]
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資産状況の調査 訴訟を起こす前に、相手の経済状況をきちんと調査するのは極めて重要である。回収できなかった場合、勝訴の判決は何の価値もない紙となる。回収を目的として訴えるのであれば、弁護士の責任として、事前に、清算や香港に資産価値のある財産の有無などの相手方の経済状況を調べないと業務過失を認定されるリスクがある。 時効 民事訴訟は限定された期間=時効期間内に起こさなければならない。時効条例(Limitation Ordinance)により、その期間は以下のように規定されている。 — 契約(contract):契約違反日から6年間 — 不法行為(tort):不正行為日あるいは不正行為による損害が初めて発生した日から6年間 — 証書(deed):違反日から12年間 — 信託 (trust):詐欺による違反は時効なし 以上を考慮の上、民事訴訟を起こす場合、香港では、(a)弁護士に委任する (b) 国選弁護士に委任する(Legal Aid)…貧困などの条件あり (c) 当事者本人が行う の3つの方法がある。ただし、高等裁判所では、原告であれ、被告であれ、法人の場合は、必ず弁護士に委任する必要がある。 民事訴訟の流れ […]
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3 民事訴訟の法源 争いの内容により異なるが、例えば、知的財産権に関する争いの場合は、 (a)その分野に関する法律と法令:例えば、商標条例、特許条例、著作権条例、コモン・ローの判例 (b)知的財産権に関する判例が参照される。契約紛争時は、契約に関する法律判例が参照される。係争内容により参照される法律が異なる。 4 案件の流れ、進み方や管理方法 弁護士が禁止されていない裁判所の場合、非常に厳格なルールがあり、それらは下記が参照される。 (a) 法令(香港ではOrdinance、イギリスではAct)例えば、高等法院条例 (High Court Ordinance)、地方法院条例(District Court Ordinance)など (b) 付属法令、特に高等法院規則(Rules of the High Court)、地方法院規則(Rules of the District Court) これが最重要である。 (c) 首席裁判官による業務手引き(Practice Directions) (d) 判例 (e) 年間更新される白書(White Book 正式名:Hong Ko […]
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香港の法制度は、1997年の中国返還後も香港基本法(Hong Kong Basic Law)による「一国二制度」の原則の下、英国同様にコモン・ロー(common law判例法)制度を維持し、香港の裁判所の過去の判例が先例として非常に重視される。他のコモン・ローを採用している国や地域の判例も参考にできる点など、国際ルールに基づいた近代的な法律環境が整っている。 1 香港における民事と刑事 1.1 原告と被告について 刑事訟訴:刑事訴訟を提起する権利は香港特別行政区政府にのみ帰属し(以下、香港政府とする)、個人と法人が当事者となるのは被告人となる場合だけである。 民事訟訴:個人、法人、香港政府は原告として民事訴訟を提起することができる。同じく個人、法人、香港政府を被告として訴えることもできる。 1.2 勝訴のための立証基準について 刑事訴訟:検察官は被告人を有罪にするために該当罪を「合理的な疑い以上」(beyond reasonable doubt)のレベルまで証明する必要がある。この基準は非常に厳格である。 民事訟訴:原告側が勝訴するかは、「可能性の秤でどちらがありえそうか」(on a balance of proba […]
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