香港の謝罪条例(Apology Ordinance)
香港の謝罪条例(Apology Ordinance) 2017年7月13日、香港立法会にて、“謝罪条例”という法律が可決され、正式に香港の法律となりました。イギリス、アメリカ、オーストラリアの国においては似ている法律がありますが、このような法律はアジア地域では初めてです。 なぜ謝罪条例ができたのか? 『すみません。』という言葉は世の中の争いを解決する有効な方法と香港政府は考えています。 法律の面からみると、今まで、民事訴訟において、訴訟相手の謝りそのものが、事実とみなされ、法律責任を証明するために使える証拠となっていました。そのため、法律の責任を避けるために、今まではほとんどの争いで悪い方が相手に謝罪することを、避け、拒否しているのが現状です。 自分の謝罪が事実認定とされたくないだけではなく、謝罪というのは訴訟を起こせる時効に大きな影響を与えています。簡単に言うと、民事訴訟の時効(例えば債権回収)は、6年間、個人傷害に関する訴訟の時効は3年間です。例えば、時効が6年間ある場合、事件から2年経過した段階で、謝罪を行った場合は、時効がまた0からスタートとなり合計8年間となる恐れがあります。 さらに、多くの保険契約の条件として、ミ […]
Read more香港で逮捕された時、するべきこと②
②冷静さを守ること これが最も大切です。警察は合理的な疑いをもって逮捕に踏み切ります。そこであなたが大きく抵抗したり暴力をふるったりすれば、警察に容疑者を逮捕する口実をさらに与えてしまうことになります。 自分がどのような罪で逮捕されたのかを警察に聞くこと まずは状況を把握しましょう。 不用意に話さないこと 容疑者には黙秘権があります。警察官も容疑者に対して必ず次のようなことを話します。「あなたが話したいことを除き、話す義務はありません。ただし、あなたが話した内容は将来裁判所に証拠として提出されます。」多くの方は、①逮捕の事実や警察の勢いに脅かされたこと ②準備不足であったこと ③緊張と不安 ④早く警察署を出たいという気持ち ⑤法律の不知(黙秘権など)などの理由から自ら不利な供述をしてしまいます。しかしこれは絶対にしてはいけません。警察署でペラペラと自分の無実或いは自分のストーリーを供述し署名することは非常に不利になりえますのでご注意下さい。近時の裁判所は極度の緊張や勘違いや警察の脅しによって事実と異なることを話してしまったという言い訳を認めません。そのため、取り調べで供述してしまったことを裁判で覆すことは非常に難 […]
Read more香港で逮捕されたとき、するべきこと①
香港で逮捕された時、するべきこと あなたは、自分は犯罪を犯さないので、自分には全然関係ない話と思われますか。 まずこのコラムを読んだあなたは、これだけは覚えておいてください。万が一、万が一、逮捕された場合は、警察署、ICAC、税関からすぐにでも弁護士に連絡し、弁護士が来るまで供述をしないことです。これは私が弁護士だから言っているのではなく、そうするのがあなたにとって本当に得策なのです。 1.はじめに もしも香港で逮捕されたら、あなたは適切に自分の身を守ることができますか。私たちは普段、逮捕されるかもしれないなどと考えもせず生活しているでしょう。 しかし実際には、日本人が香港で逮捕されたケースを見聞きしますし、実際に今まで多数の日本人の刑事事件の依頼を受けております。 私のこれまでの経験では、 日本では、弁護士が示談交渉をしてくれると聞いたことがあるので、とりあえず言われるままに署名した。 通訳に、『弁護士は高いから弁護士なしでも大丈夫。』と言われ供述署名した。現実は、特に駐在員の場合は、仕事も家庭も影響を大きく受けることとなり弁護士費用どころの話ではない。 自分は本当にその罪を犯していないので警察はきちんと調べたら […]
Read more香港の民事訴訟 ④
起訴状の発行 民事訴訟手続規則により、裁判を開始する様式は4つある。 ① 召喚状 (Writ of Summons) この様式は事実関係と法律の争いがあるときに使用する。 ② 手続開始申立書 (Originating Summons) この様式は法律の争いがあるときのみに使用する。 ③ 動議 (motion) 特別な申請である上訴、司法審査のときに使用する。 ④ 嘆願書 (petition) 離婚、清算、個人破産など法律で規定された争いのときに使用する。 民事訴訟では、召喚状で起訴することが圧倒的に多く、その理由は民間人の争いは殆ど事実関係の係争であるからだろう。例えば、契約違反の争いで、いつ、何処、何、誰、損害額などは殆ど事実関係の範囲であり、民事訴訟手続規則により、間違った様式で始まった裁判の有効性は認められるが、恐らく裁判所に様式変更を命じられる。この時、担当弁護士が恥をかくだけではなく、関連する費用も自己負担を命じられる可能性が高い。 起訴状の送達 民事訴訟手続は、召喚状の提出およびこれを被告に送達することにより開始する。送達方法や有効性については詳細な規則が設けられており、このステップは極めて重要で […]
Read more香港の民事訴訟 ③
資産状況の調査 訴訟を起こす前に、相手の経済状況をきちんと調査するのは極めて重要である。回収できなかった場合、勝訴の判決は何の価値もない紙となる。回収を目的として訴えるのであれば、弁護士の責任として、事前に、清算や香港に資産価値のある財産の有無などの相手方の経済状況を調べないと業務過失を認定されるリスクがある。 時効 民事訴訟は限定された期間=時効期間内に起こさなければならない。時効条例(Limitation Ordinance)により、その期間は以下のように規定されている。 — 契約(contract):契約違反日から6年間 — 不法行為(tort):不正行為日あるいは不正行為による損害が初めて発生した日から6年間 — 証書(deed):違反日から12年間 — 信託 (trust):詐欺による違反は時効なし 以上を考慮の上、民事訴訟を起こす場合、香港では、(a)弁護士に委任する (b) 国選弁護士に委任する(Legal Aid)…貧困などの条件あり (c) 当事者本人が行う の3つの方法がある。ただし、高等裁判所では、原告であれ、被告であれ、法人の場合は、必ず弁護士に委任する必要がある。 民事訴訟の流れ […]
Read more香港の民事訴訟
香港の法制度は、1997年の中国返還後も香港基本法(Hong Kong Basic Law)による「一国二制度」の原則の下、英国同様にコモン・ロー(common law判例法)制度を維持し、香港の裁判所の過去の判例が先例として非常に重視される。他のコモン・ローを採用している国や地域の判例も参考にできる点など、国際ルールに基づいた近代的な法律環境が整っている。 1 香港における民事と刑事 1.1 原告と被告について 刑事訟訴:刑事訴訟を提起する権利は香港特別行政区政府にのみ帰属し(以下、香港政府とする)、個人と法人が当事者となるのは被告人となる場合だけである。 民事訟訴:個人、法人、香港政府は原告として民事訴訟を提起することができる。同じく個人、法人、香港政府を被告として訴えることもできる。 1.2 勝訴のための立証基準について 刑事訴訟:検察官は被告人を有罪にするために該当罪を「合理的な疑い以上」(beyond reasonable doubt)のレベルまで証明する必要がある。この基準は非常に厳格である。 民事訟訴:原告側が勝訴するかは、「可能性の秤でどちらがありえそうか」(on a balance of proba […]
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